展示会・イベント当日の写真と動画を、営業・広報で活用するための依頼準備。必須カット、会場図、進行表、許可、速報納品と公開確認の手順を解説します。
登場するふたり

くるるって?
気になるものを見つけると、ついつい寄り道しちゃう好奇心いっぱいのくるる。「これ、なんで?」が口ぐせです。ひらめくとすぐに試したくなるけれど、途中で「あれれ?」と手が止まることも。そんなときは、まなボットのところへ。うまくできた日は、誰かに見てもらいたくてそわそわしています。

まなボットって?
くるると一緒に「なんでだろう?」を考える、小さなロボット。調べものが好きで、分からないことに出会うと、ちょっとうれしくなります。説明に夢中になって、つい話が長くなることも。くるるの「つまり、こういうこと?」に、新しい発見をもらっています。「なるほど!」と言ってもらえると、その日はずっとごきげんです。
会話内の企業・商品・場面は説明のための架空の例です。実際の改善実績を示すものではありません。
著者:MADE IN CREW編集部
「展示会の写真はたくさんあるのに、営業資料に使いたい場面が見つからない」
「会場の雰囲気は撮れたけれど、登壇者の声が聞き取れなかった」
一度しか起きないイベントでは、撮影後に不足へ気づいても、同じ場面を撮り直せないことがあります。だから依頼前に、使う媒体と公開日、必須場面、撮影・公開の条件を揃えておくことが大切です。
今回は、くるるとまなボットが、展示会・企業イベントの撮影準備を考えます。対象は当日の写真・動画撮影です。会場で上映する映像の事前制作とは分けて、撮影計画から納品後の活用までを整理します。
本文の進行表や仕分けは、編集部による実務上の提案例です。実在する制作事例は出典を添え、説明用の仮例と区別しています。
第1話|何枚撮るかより、どこで使うかを決めよう
くるる「展示会にカメラマンをお願いするんだ。たくさん撮ってもらえば、後で何にでも使えるよね?」
まなボット「枚数が多くても、欲しい場面がなければ使いにくいよ。最初に、誰がどこで使う写真や動画なのかを決めよう」
くるる「社内の記録にも、SNSにも、営業にも使いたいな」
まなボット「それぞれで必要な情報が違うね。社内記録なら会場や運営の様子。営業資料なら、製品の使い方や説明する場面。次回告知なら、会場構成や参加時の雰囲気が候補になる」
| 使い道の例 | 先に決めたいこと |
|---|---|
| 会期中のSNS | 公開する時刻、選定と確認の担当 |
| 開催後のレポート | 紹介する内容、必要な全景・人物・デモ |
| 営業資料 | 誰に何を説明するための素材か |
| 次回開催の告知 | 過去の開催内容として使える範囲 |
くるる「同じ一枚で、全部を済ませるつもりだった」
まなボット「兼ねられる写真もあるけれど、最初から決めつけない方がいい。用途ごとに『見る人・伝えたいこと・使い始める日』を一行ずつ書こう。公開日が決まると、撮影だけでなく選定や社内確認の締切も見えてくるよ」

第2話|必須カットを、言葉にできる?
くるる「じゃあ、盛り上がっている感じを撮ってほしい、と伝えるね」
まなボット「雰囲気の希望としては大事。でも現場で狙えるように、誰の何が写ればよいか、もう少し具体的にしよう」
くるる「スタッフが製品の操作を説明していて、画面と手元が見える写真、とか?」
まなボット「そう。それなら使う場面を想像しやすいね。必要な写真は、次のように役割で整理できるよ」
- 全景:何のイベントで、どんな会場・ブースだったかが分かる。
- 製品・展示:社名や製品の形、展示内容が分かる。
- 説明・デモ:何を体験でき、どう使うかが伝わる。
- 登壇・表彰:登壇者や受賞など、そのときだけの場面を残す。
- 交流・集合:対応の様子や、指定したメンバーを記録する。
くるる「全部、必須にしておこうかな」
まなボット「予定が押したときに選べなくなるよ。掲載するページや動画構成を思い浮かべて、『必須』『時間があれば』『代替可能』に分けよう。写真を使う担当にも優先順位を確認しておくと、撮影当日に指示が増えにくくなる」
くるる「来場者の表情が撮れない場合は?」
まなボット「許可を得たスタッフの説明、手元や製品の寄りなど、代替素材も相談できる。ただし、撮影のために通路を塞いだり、来場者を無理に集めたりしないこと。安全と通常の運営を優先しよう」

第3話|会場図と進行表を並べてみよう
くるる「撮りたい場面が決まった! あとは当日、順番に回ればいい?」
まなボット「まず、同じ時刻に別の場所で起きることがないか見よう。ステージの登壇とブースのデモが重なっていると、一人では両方へ移動できないよね」
くるる「時刻表だけじゃ、場所の遠さが分からないね」
まなボット「会場図にステージ、ブース、控室、集合写真の場所、通れるルートを書き込もう。入館、機材確認、設営、移動、待機も必要だから、登壇の開始時刻を撮影担当の到着時刻にしないようにするんだ」
くるる「開場前に全景を撮りたい場合も、入れる時刻を確認する?」
まなボット「そう。設営が終わる時刻と撮影可能な入場時刻の両方が必要。荷物が残っている間は撮りにくいこともあるし、開場後には来場者対応が優先になる」
くるる「カメラを置く位置は、空いているところでよいのかな」
まなボット「来場者の通行、車椅子の動線、避難経路を妨げない位置を、主催者や会場と確認しよう。ステージまでの距離や立入制限でも機材が変わるから、図面だけで判断しにくければ現場写真や下見で補うといいね」

第4話|写真も動画も、一人に頼めば大丈夫?
くるる「写真も動画も必要だけど、同じカメラで撮れるなら、一人にお願いできる?」
まなボット「切り替えながら撮れる場面はある。でも、同時に必要な写真と連続動画を、いつでも両方残せるとは限らないよ」
くるる「登壇をずっと収録しながら、別の場所の来場者対応を撮るのは難しいね」
まなボット「その場合は、人員や固定カメラの使い方を相談しよう。体制は来場者数だけで決めず、同時進行、移動距離、撮り直せるかどうかで考えるんだ」
MADE IN CREWのAIRS Medical Japan様・ITEM 2025の制作事例では、展示会ブースの写真撮影とイベントプロモーション動画制作を紹介しています。公開されている担当範囲は、写真と動画で何を残すかを考える参考になります。各イベントに必要な人数や撮影時間を一律に示す事例ではありません。
くるる「動画から静止画を切り出せば、写真の代わりになる?」
まなボット「用途によっては使えるけれど、希望する写真の見え方や品質を満たすとは限らない。印刷する、人物の一瞬を押さえる、といった目的があれば、写真として必要な場面を別に指定しよう」
くるる「SNSの縦動画も必要なんだ」
まなボット「それも先に伝えたいね。横の画面を後から切り取るだけでは、人物や製品が欠ける場合がある。使う比率と内容を共有して、撮影と編集の範囲を決めよう」

第5話|撮ってよいことと、公開してよいことは同じ?
くるる「主催者から撮影OKと言われたよ。これでWebにも広告にも使える?」
まなボット「そこは別々に確認しよう。会場で撮影できる範囲と、人物・発言・展示物をどの媒体へ掲載できるかは、確認する内容が違うんだ」
| 確認する相手 | 相談する内容の例 |
|---|---|
| 主催者・会場 | 撮影申請、パス、禁止エリア、搬入や電源 |
| 自社の運営担当 | 機密情報、撮影できるデモ、当日の優先順位 |
| 登壇者・出演者の窓口 | 写真や音声、発言の編集、掲載先と利用範囲 |
| 参加者対応の担当 | 撮影案内、個別確認、写り込みを避ける方法 |
くるる「会場のルールは、どこでも同じではないんだね」
まなボット「たとえば東京ビッグサイトの商業撮影案内は、同社が管理する施設の共用部などを対象にしている。すべての展示会ブースに同じ条件が当てはまると考えず、利用場所と催事に合う窓口へ確認しよう」。東京ビッグサイト:商業撮影利用案内
くるる「会場に撮影のお知らせを貼れば、人物の掲載確認も済む?」
まなボット「掲示だけで、すべての人の写真をあらゆる用途に使えるとは決めつけないこと。大きく写す人やコメントを収録する人には、目的と公開先が伝わる確認方法を準備しよう」
写真やスライドなど他者の著作物を含める場合も、対象と利用範囲を整理します。文化庁の著作権契約マニュアルはその整理の参考になりますが、人物の撮影・公開に関する判断を、この資料だけで済ませるものではありません。条件が不明な場合は主催者・権利者などへ確認してください。

第6話|映像がきれいでも、声が聞こえなかったら?
くるる「登壇を動画で残せば、会場のマイクの声も録れるよね?」
まなボット「会場で聞こえることと、撮影位置から明瞭に録音できることは違うよ。発言を残すなら、音響担当へ音声を受け取れるか、接続方法、本番前に試せる時間を聞いておこう」
くるる「自分たちのマイクを付ける場合は?」
まなボット「装着する相手と会場へ相談する。発言を連続収録する動画なのか、音声を使わない雰囲気中心の短い動画なのかも、最初に分けて伝えよう」
くるる「写真で先に確認することはある?」
まなボット「フラッシュの可否、ステージ照明、展示画面の明るさだね。登壇者と投影スライドの両方を見せたいなど、優先する見え方も共有したい。試し撮りでは画面のちらつきや音声の雑音も確認しよう」
三脚の置き場所、電源、機材置き場、搬入経路、撤収時刻も事前に揃えます。撮影班が自由に会場設備を使える前提にせず、管理担当と合意しておくための確認です。
くるる「会場のBGMが入った動画は、そのまま公開してよい?」
まなボット「その場で流せた音楽でも、公開動画での利用条件が同じとは限らないよ。後から付ける音楽も含め、曲と音源、それぞれの権利や掲載先を確認しよう」
JASRACは、管理楽曲を広告で使う際の手続きや、市販音源などでは別途著作隣接権の許諾が必要なことを案内しています。必要な確認は利用方法と音源で変わります。JASRAC:広告での音楽利用

第7話|進行が変わったら、誰が判断する?
くるる「当日は予定が変わりそう。撮影担当に、その場でお願いすればいいかな」
まなボット「変更は起こるものとして、連絡先と優先順位を決めておこう。進行表には『いつ・どこで・何を・誰が判断するか』を一緒に書くと伝えやすいよ」
次は、架空の小規模な企業展示イベントの例です。実績や標準の必要時間を示すものではありません。
| 場面 | 撮る内容 | 企業側の確認・連絡 |
|---|---|---|
| 開場前 | ブース全景と製品 | 出展責任者が設営完了を連絡 |
| 指定したデモ | 操作する手元と説明 | 説明担当が撮影・掲載条件を確認 |
| 午後の登壇 | 発言の連続収録と登壇写真 | 運営担当が開始変更を連絡 |
| 集合の時間 | 決めたメンバーの集合写真 | 社内担当が対象者を誘導 |
| 撮影終了前 | 必須カットの不足確認 | 責任者同士で追加撮影を判断 |
くるる「時刻と場所だけでなく、許可の状態や納品期限も付けられそう」
まなボット「うん。未確定なら『確認中』と分かるようにする。連絡窓口は企業側でまとめ、代理の人も決めよう。複数の担当者が別々に追加指示を出すと、元の必須場面を逃しかねないからね」
くるる「急な追加は断らなきゃいけない?」
まなボット「まずは両立できるか相談する。残り時間、移動、許可を確かめ、追加すると何を撮れなくなるかも確認して判断しよう。延長や追加費用が必要な場合の承認方法も、事前に決めておくと安心だね」

第8話|当日SNSに出したいなら、確認の時間も必要
くるる「写真は当日夕方のSNSに使いたい。撮ったら、すぐ送ってもらおう!」
まなボット「速報対応として、作業を分けて相談しよう。撮影後には、写真を選ぶ、必要な補正をする、公開可否を確認する、データを渡す、という工程があるよ」
くるる「広報担当が忙しくて確認できなかったら、公開できないね」
まなボット「だから、何時までに誰が確認するかも決める。速報用の受け渡し先を本納品と分けて、公開前の素材を誤って使わないようにしよう」
くるる「本納品は、写真と動画をまとめてお願いするね」
まなボット「その中身も合わせておきたい。写真なら選定・補正の範囲。動画なら長さ、構成、字幕、BGM、横版・縦版、修正回数。受け取る側が使える形式かも確認しよう」
くるる「撮ったデータは全部もらえるものだと思っていた」
まなボット「元データや未選定カットを含めるかは、依頼先との取り決め次第。必要なら見積前に伝え、利用条件と一緒に確認するんだ。速報の締切と本納品の締切は、それぞれ書いておこう」

第9話|見積もりは、同じ条件で比べよう
くるる「撮影料金の合計が安い会社を選べば、予算を抑えられるかな」
まなボット「合計だけでは、何が含まれているか分からないよ。撮影時間、人員、機材、移動や宿泊、編集、速報対応、追加修正、納品方法を同じ条件に揃えて比べよう」
くるる「当日の撮影だけ安くても、必要な編集が別料金かもしれないね」
まなボット「そう。短い動画でも、字幕や複数サイズの作成が必要なら作業が増える。逆に、使わない納品物を増やすより、必要な用途に絞る考え方もあるよ」
くるる「予算が限られているとき、何を削ればいい?」
まなボット「まず必須場面を守れるかを確認して、撮影時間帯や編集範囲を調整しよう。人数だけを減らして同時進行を見落とすと、必要な記録が残らないことがあるからね」
依頼前に、イベントの延長、登壇時刻の変更、屋外撮影の天候、延期・中止が起きた場合の扱いも確認します。費用や可否を一律に予想せず、契約条件と当日の判断方法を揃えるためです。
くるる「『何円で何枚』だけじゃなく、どんな条件で何を残してもらうかなんだね」
まなボット「うん。見積書と依頼シートが同じ撮影を指しているか、最後に照合しよう」
第10話|写真がよく撮れていても、公開前に点検しよう
くるる「納品写真、いい感じ! すぐ社内に共有するね」
まなボット「まず公開に使える素材か確認しよう。画面を大きくして見ると、名札や受付リスト、PC画面に、公開したくない情報が写っていることもある」
- 来場者の名札、名刺、受付リストなどに個人情報が含まれていないか。
- PC画面や資料に、未公開情報・機密情報が見えていないか。
- 撮影禁止の展示物や、使用条件が未確認の素材が含まれていないか。
- 登壇者の氏名・役職、字幕、イベント名、開催日が正しいか。
- 写真・発言・音楽の使用範囲が、今回の掲載先と一致しているか。
くるる「問題があったら、全部ぼかせば大丈夫?」
まなボット「ぼかしで解決できるものもあるけれど、それだけで利用条件まで解決するわけではないよ。別カットへの差し替え、必要な範囲の編集、追加確認、掲載を見送る判断を、公開責任者と相談しよう」
くるる「確認が終わった写真を、どこで見分ける?」
まなボット「『公開確認済み』『要確認』『速報公開済み』を分けると運用しやすい。誰が何を確認したかも、素材の管理表へ残しておこう」

第11話|納品フォルダを、使える状態で渡そう
くるる「営業にも広報にも、同じフォルダのリンクを送れば完了かな?」
まなボット「大量の写真が並んでいるだけだと、探すところから始まるね。全景、製品・デモ、登壇、交流、集合など、内容で分けると見つけやすいよ」
くるる「公開条件も、一緒に渡した方がよいね」
まなボット「そのとおり。ファイル名にはイベント名、撮影日、通し番号など、チームで識別できる情報を付ける。利用範囲や期限がある素材は、管理表を参照できるようにしておこう」
くるる「各部署が自由にコピーして使うと、後から差し替えるのが大変そう」
まなボット「公開元と管理担当を決めておくと、変更時の連絡先が分かるね。次回告知へ使う場合も、過去の会場や展示内容だと伝わる説明を確認したい」
MADE IN CREWのRELIFE様・主催パーティー撮影事例では、登壇、歓談、会場、集合などの撮影を紹介しています。用途に合わせて必要な場面を揃える参考としてご覧ください。
くるる「レポートを公開した後の行き先も考えられそうだね」
まなボット「製品紹介やサービス紹介、次回案内へつなげるなど、読んだ人の次の行動を考えよう。ただし、撮影しただけで営業成果が決まるわけではない。誰がいつ使うかまで決めることが、素材を活かす出発点だよ」
第12話|最初の一歩は、依頼シートを一枚にまとめること
くるる「撮影って、当日のカメラの話だけじゃないんだね。何から始めよう?」
まなボット「まずは、この三つをまとめよう。未確定のところは、無理に埋めず『相談したい』と書いてよいんだ」
- 使う媒体と公開日を、営業・広報の担当へ確認する。
- 必須場面と進行表を会場図に重ね、同時進行と移動を確認する。
- 撮影・公開の条件と納品内容を整理し、確認担当を決める。
くるる「枚数や料金を聞く前に、使いたい場面を共有するんだね」
まなボット「そうすれば、必要な体制や編集範囲を相談しやすい。撮り逃しを完全になくす約束はできなくても、現場で何を優先するかを関係者で揃えられるよ」
くるる「当日は変更を一つの窓口で伝えて、納品後は公開確認と引き継ぎまで進めよう」
まなボット「うん。使う予定まで決めておくことが、イベント撮影の依頼を具体的にする。 まずは開催日時と会場、使いたい媒体、外せない登壇やデモを書き出してみよう」

MADE IN CREWの写真撮影・動画制作では、用途に合わせた撮影をご相談いただけます。開催日時・会場/使いたい媒体/必須の場面/速報を含む希望納期を分かる範囲で整理して、お問い合わせフォームからお知らせください。
