発注する側が、SEO・AEO・GEO・AIO・LLMOをすべて覚える必要はありません。AI検索で目指したいのは「社名で検索されたら出る」ことではなく、自社を知らないお客様が「自分の悩みを解決してくれそうな会社だ」と判断できる情報が揃っていて、それを検索システムも確認できる状態にあること。AI専用の特別な対策より、お客様への説明を丁寧にする。この順番を逆にしないことが出発点です。
「ChatGPTで自社の業界について聞いてみたら、競合の名前は出てくるのに、うちは出てこない」「上司やクライアントから“AI検索にも対応しておいて”と言われたけれど、何をすればいいのかわからない」「せっかくサイトをリニューアルするなら、見た目を変えるだけでなく、これからの検索にも対応したい」。そんな悩みを抱えていませんか。
調べてみると、SEO、AEO、GEO、LLMOといった言葉が出てきて、「結局、制作会社に何を頼めばいいのか」が、かえってわかりにくく感じるかもしれません。しかし、発注する側が、すべての専門用語を覚える必要はありません。
まず考えたいのは、自社を知らないお客様がサイトを見たときに、「自分の悩みを解決してくれそうな会社だ」と判断できる情報が、きちんと揃っているかということです。その情報を、検索システムも確認できる状態に整える。ここが、AI検索を意識したサイトづくりの出発点になります。
この記事では、自社サイトの改善を任されているご担当者様、制作パートナーを探している代理店様、サイト制作・リニューアルを検討している方に向けて、押さえておきたい考え方を説明します。
AI検索で大切なのは、「社名で検索されたら出る」だけではありません
ChatGPTの検索機能や、Googleの「AIによる概要」「AIモード」では、質問に対して情報をまとめた回答と、関連するWebサイトへのリンクが表示されます。従来の検索結果の一覧に加え、AIがまとめる回答の中にも、お客様との接点があるということです。
例えば、サイトのリニューアルを考えている人が、次のように質問する場面を想像してみてください。
社内にWeb担当者がいません。会社の強みを整理するところから、サイトのリニューアルを相談できる制作会社はありますか?
この人が知りたいのは、単なる「制作会社の一覧」ではありません。専門知識がなくても進められるか。原稿まで任せられるか。自社に合った提案をしてもらえるか。そうした不安を解消できる相手を探しています。
ここで目指したいのは、自社名をすでに知っている人に見つけてもらうことだけではなく、自社が得意な仕事を必要としている人に、相談先の候補として出会ってもらうことです。そのためには、「何をしている会社か」に加えて、「どのような悩みを持つ人に、何ができる会社か」を伝える必要があります。
なお、AIの回答に名前が出ることと、お問い合わせが増えることは同じではありません。紹介をきっかけにサイトへ来た人が、対応範囲や実績を確認し、「ここに相談してみよう」と思えるところまで設計することが大切です。
実績はあるのに、サイトでは伝わっていないかもしれません
「技術もある。お客様からの評価も悪くない。それなのに、なぜ自社が出てこないのか」。そう感じたとき、すぐに「競合より劣っているから」と考える必要はありません。掲載されない原因を一つに決めつけず、まずはサイト側で確認できることを見直してみましょう。
営業では説明している強みが、サイトに載っていない
商談では、こんな説明をしていないでしょうか。「同じ業界のお客様を支援した経験があります」「お客様側で原稿を用意しなくても進められます」「制作だけでなく、公開後の更新方法まで考えて設計します」。
ところが、サイトに書かれているのは「豊富な実績」「柔軟な対応」「高品質なサービス」だけ。これでは、何を相談できるのか、どこまで任せられるのかが具体的に伝わりません。
社内では当たり前になっていることが、お客様にとっては依頼先を選ぶ決め手かもしれない。この視点で、営業資料や普段の商談内容と、サイトの説明を見比べることが重要です。
「強み」は書いてあるけれど、確かめる材料がない
「実績が豊富です」と書かれていても、どの業界の、どのような課題に対応したのかがわからなければ、自社にも合う会社か判断しにくいものです。制作事例に完成したサイトの画像だけが掲載されている場合も、デザインは確認できますが、依頼前の課題や、制作会社が担当した範囲まではわかりません。
大切なのは、立派な言葉を増やすことではなく、その言葉を裏付ける情報を示すことです。Googleも、独自の経験や情報に基づいた、利用者にとって役立つ内容を重視するよう案内しています。他社にも当てはまる一般論を増やすより、自社が実際に取り組んだことを伝える方向で考えましょう。
「大きな数字がないから、実績として書けない」と考える必要はありません。どのような相談を受け、何を工夫し、どこまで支援したのか。公開できる範囲で具体的に説明することから始められます。
公開されていても、検索システムが確認できる状態とは限らない
もう一つ、文章やデザインとは別に確認したいのが、サイトの技術的な状態です。GoogleのAI検索機能には、検索に登録されていることなどの条件があります。また、OpenAIも、ChatGPTの検索に使う巡回プログラムへのアクセスを認めるための設定を案内しています。ブラウザで見られることと、各検索サービスが情報を取得・利用できることは、分けて確認する必要があります。
つまり、「文章を書き直せば解決する」とも、「新しいサイトにすれば解決する」とも、最初からは言い切れません。内容に問題があるのか。情報の整理に問題があるのか。技術面で妨げになっていることがあるのか。ここを切り分けずに施策を追加すると、費用をかけても、本当に直すべき部分が残ってしまいます。
目指したいのは、「紹介しやすい会社案内」です
難しく考える前に、知り合いから「おすすめの会社を紹介してほしい」と言われた場面を想像してみてください。紹介する側としては、社名だけでなく、「何が得意なのか」「どんな相談に向いているのか」「なぜ勧められるのか」を説明したいはずです。この感覚を、自社サイトを見直す手がかりにしてみましょう。
例えば、次の二つの説明を比べてみてください。以下は、伝え方の違いを示す架空の例です。
お客様に寄り添い、高品質なWebサイトを制作します。豊富な経験を生かし、柔軟に対応します。
社内にWeb専任者がいない企業の、サイトリニューアルを支援します。既存の営業資料をもとに、掲載する情報の整理からページ構成・原稿作成まで担当します。何を準備すればよいかわからない段階から、ご相談いただけます。
後者では、「Web担当者がいない」という悩みに対して、何を任せられるのかが具体的になっています。ここに、関連する事例や実際の担当範囲が添えられていれば、読んだ人は自社の状況と照らし合わせて検討できます。
見直しの軸は、次の三つです。
- 誰の、どのような悩みに答えるページなのか。
- その悩みに対して、何ができるのか。
- そう説明できる理由や実績は何か。
文章を難しくする必要はありません。質問に対する答えを先に示し、その後に理由や具体例を添える。まずは、読んだ人が迷わず理解できる説明を目指します。
また、実績や数値を掲載する場合は、対象や期間、出典なども確認できるようにしておきたいところです。会社情報、執筆者、情報源が明確であることは、読者が内容を信頼できるか判断する材料になります。
AI検索を意識するからこそ、お客様への説明を丁寧にする。この順番を逆にしないことが大切です。
「AI専用の対策」を増やせばよいわけではありません
AI検索について調べていると、「FAQを増やすべき」「特定の形式に文章を揃えるべき」「専用のファイルを設置すべき」といった情報を見かけるかもしれません。しかし、何か一つを追加すれば、それだけで紹介されるようになるわけではありません。
Googleは、AI検索向けにも基本的なSEOが引き続き重要であり、AIのためだけの特別な書き方やファイルは必要ないと説明しています。AEOやGEOという名称で提案される内容も、名称ではなく、実際に何を改善するのかを見る必要があります。
FAQは、お客様が知りたいことに答えるために設けるものです。質問を大量に並べること自体が目的ではありません。更新日も、日付だけを新しくすればよいわけではありません。料金や対応範囲が変わったなら、内容を確認し、実態に合わせて直す必要があります。
また、「AI検索で参照されること」と「AIモデルの学習に使われること」は別です。OpenAIでも、検索用と学習用の巡回は区別されています。「AIに覚えさせれば、ずっとおすすめされる」という説明で捉えないようにしましょう。
発注する側として大切なのは、専門用語の数ではありません。自社サイトの何が課題で、その作業によって何を改善しようとしているのか。そこを納得できる言葉で説明してもらえるかどうかです。
リニューアルするなら、デザインを決める前に考えたいこと
サイト制作やリニューアルでは、デザイン、ページ数、制作費、公開時期が主な検討事項になりがちです。もちろん、どれも大切です。ただ、それらを決める前に、もう一つ整理しておきたいことがあります。「このサイトから、どのような相談を増やしたいのか」です。
例えば、採用についての相談を増やしたいのか。特定の業界からの問い合わせを増やしたいのか。価格だけで比較されず、専門性を理解したうえで相談してもらいたいのか。目標によって、説明すべきサービス、掲載する事例、お客様の不安に答える内容が変わります。
デザインが固まった後で「この強みも伝えたい」「この事例を詳しく見せたい」と気づけば、ページ構成から見直す必要が生じるかもしれません。だからこそ、AI検索への対応は、完成直前に付け足す機能としてではなく、誰に何を伝えるサイトを作るのかという、最初の設計と一緒に考えたいテーマなのです。
全面リニューアルが必要とは限りません
一方、すでにサイトがある場合は、AI検索が気になるからといって、すぐにすべてを作り直す必要はありません。既存ページの説明を補うことで対応できるのか。サービスページや事例ページを整理する必要があるのか。技術面を含めた改修が必要なのか。まずは、その判断から始めましょう。
最初に決めるべきなのは「何ページ追加するか」ではなく、今のサイトを生かしながら、何を優先して改善するかです。
社内への説明も、「AI対策をするため」だけでは曖昧です。「重点サービスの対応範囲が伝わっていないため、事例と説明を整理する」「検索から訪れた人が相談内容を判断できるようにする」といった形で、事業上の目的とつなげると、検討する理由が明確になります。
代理店様が制作会社を選ぶときは、「AI検索対応」の中身を確認してください
クライアントから「AI検索にも対応したい」と相談されたとき、代理店様にとって必要なのは、単に新しい施策名を提案書に加えることではないはずです。何を実施するのか。なぜ必要なのか。費用はどこまで含まれるのか。公開後に何を確認するのか。クライアントへ説明できる状態で、制作を進められることが重要です。
例えば、「AI検索に対応したサイトを制作します」という説明だけでは、どこまでを依頼できるのか判断できません。サイトの構成から相談できるのか。原稿は誰が用意するのか。技術的な確認は含まれるのか。公開後の確認や改善は別契約なのか。ここが曖昧なまま進むと、クライアント、代理店、制作会社の間で期待がずれてしまいます。
制作パートナーを検討するときは、完成したデザインだけでなく、課題の整理から制作内容への落とし込みまで、どう進めるのかも確認しておきましょう。制作だけを任せたいのか、提案段階から協力してほしいのか。クライアントとの打ち合わせには誰が参加するのか。既存の制作体制とどのように役割を分けるのか。こうした条件を早めに共有することが、依頼先との相性を見極めることにつながります。
ゴールは「AIに一度出ること」ではなく、必要なお客様から相談されること
AI検索への対応を考えると、どうしても「会社名が出たか、出なかったか」に意識が向きます。しかし、Googleも、要件を満たせば必ず掲載されるわけではないと明記しています。AI検索への対応は、掲載を保証するものとしてではなく、サイトの内容や技術面を整え、状況を確認しながら改善する取り組みとして考える必要があります。
そのうえで、事業の成果を見るなら、確認したいのは会社名の表示だけではありません。紹介された内容が実際のサービスと合っているか。サイトに来た人が必要な情報を見つけられるか。増やしたかった相談につながっているか。
例えば、問い合わせ件数が増えても、対応していない仕事の相談ばかりであれば、伝え方を見直す余地があります。逆に、件数だけでは大きな変化がなくても、自社の得意分野を理解した問い合わせが届くようになれば、商談の質という面から評価できます。
検索で見つかること、強みが伝わること、相談につながること。この三つを切り離さずに考えることが、サイトへの投資を意味のあるものにします。
「何を頼めばよいかわからない」段階から、ご相談ください
ここまで読んで、「考え方はわかったけれど、自社サイトのどこを直せばよいのかは判断できない」と感じた方もいるかもしれません。それは、説明が足りないのか、情報の配置に問題があるのか、技術面の確認が必要なのかによって、取るべき対応が変わるからです。
一般的なチェック項目をすべて実施するよりも、まずは自社の目標に対して、今のサイトに何が足りないのかを整理することが先です。
- 「今のサイトを生かして改善したい」
- 「リニューアルに合わせて、AI検索も見据えた設計にしたい」
- 「クライアントへ提案できる制作パートナーを探している」
そのようなご相談は、弊社までお問い合わせください。お問い合わせの際は、現在のサイトURLと、増やしたいお問い合わせ・解決したい悩みをお聞かせください。具体的な改修内容まで決まっていなくても構いません。
見た目を新しくするだけでなく、自社の強みを必要としているお客様に伝わるサイトへ。まずは、「今のサイトのどこから見直すべきか」というご相談からお寄せください。